悉皆店:祇園花見小路の不思議な看板。

雑誌の京都特集やガイドブックで“いかにも京都”らしい光景といえば、京都駅から見た東寺の五重塔とか八坂通から見た法観寺の塔(八坂の塔)とかいくつかありますが、この花見小路の光景もその1つでしょう。
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左側が「一力」です。ここは高台寺下の“ねねの道”と同じく、石畳&電柱・電線無しという特徴を備えており、歩きやすい道です。画面の左手奥に祇園甲部歌舞練場があり、左右にはお茶屋さんもありますので、夕方になると舞妓・芸妓さんに会うことが多い道です。

ですが、祇園甲部歌舞練場の先にはJRAのWINSもあるので土曜・日曜には馬券を求めて多くの人が押しかけますので大混雑です(笑)。それはともかく、上の画像の右、ベビーカーのお二人の角を入ると、次のようなお店があります。
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「悉皆店」です。ご存知でしたか。行者橋、大学時代に江戸時代の古文書の勉強等をした経験もありますので、“悉皆=しっかい”という読み方と「ことごとくみんな=すべて」という意味は知っておりました。沢山ある資料の中から、いくつかのサンプルをピックアップして調べたりする抽出調査に対して、資料をもれなく調べ倒す(笑)のを“悉皆調査”と言ったものです。現在でもアンケート調査をする時等には使われると思います。

とは言え、「悉皆店」は知りませんでした。全く見当もつきませんでしたが、まぁ写真だけは…と思い、撮影した次第です。で、「悉皆屋」で調べてみると、「江戸時代、大坂で注文を取り京都に送って衣服の染めや染め返しをさせることを職業とした者」(『大辞林 第二版』:三省堂より)とありました。にさらに調べてみると、京友禅の制作に関わる言葉のようです。

友禅染の制作には多くの工程・職人さんの手を経なければなりませんが、注文主の意を受けて職人の選定や各工程の管理を総合的に行う人を悉皆屋というようです。が一方で、着物の小売店を相手にシミ抜きや洗い張り・染め・仕立て等の様々な加工品を預かって、京都の各工場で調整して納品するという仕事も悉皆屋と呼ばれたようです。『大辞林』の説明は後者の感じですね。

現在、前者は「染匠」等と呼ばれることの方が多いとのこと。いやぁ、知らないことってあちこちにありますねぇ。でも、「悉皆屋(店〉」という言葉がしっかり残っているところが京都ですねぇ。無論、東京他にもあるのでしょうけど(笑)。

ところで、以前に祇園の佐川急便の青い車は使っているのだろうか、と疑問を呈したことがあるのですが、同じく花見小路で見かけました。
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これからも京都の珍しい看板等を発掘!していきますね。本当はこちらがモノを知らないだけなんですけどね(笑)。

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