『大統領の執事の涙』は感銘深い映画です。加えて…。

今回ご紹介する映画『大統領の執事の涙』は、実際にホワイトハウスでバトラー(執事)を34年間勤めたアフリカ系アメリカ人ユージン・アレンという人の体験にインスパイアされて作られた映画だそうです。
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*画像は(C)2013,ButlerFilms,LLC.AllRightsReserved.

“黒人奴隷”の身から綿花農家の家働きの下男、ホテルのボーイ見習い、高級ホテルのボーイと真面目に仕事を続けて次第に成長・出世していった主人公セシル・ゲインズ(フォレスト・ウィテカー)は、その仕事ぶりが認められ、ついにホワイトハウスの執事になります。

最初に仕えた大統領はD.D.アイゼンハワー(第34代)。以下、J.F.ケネディ、L.B.ジョンソン、R.M.ニクソン、G.R.フォード、J.E.カーター、R.W.レーガン(の第40代)全部で7人の大統領のそばで働くセシルとその同僚の様子がとても面白くホワイトハウスの内情が伝わってきます。

この映画の優れた点は、1950年代後半から始まった公民権運動に始まるアフリカ系アメリカ人の人種差別反対の動きやキューバ危機からケネディ暗殺やベトナム戦争等の社会情勢を背景に、セシルの仕事や妻(オプラ・ウィンフリー)との葛藤や息子との対立で“黒人社会での世代の変化”も描いている点です。
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*画像は(C)2013,ButlerFilms,LLC.AllRightsReserved.

1950(昭和25)年生まれの行者橋はその変化を見聞きしてきたので良く理解できます。従って、チョッと教科書的・説明的な印象もあり、もう少し掘り下げても…と思う点もあったのですが、長い歴史を短い間に描く必要もあったのでやむを得なかったのかもしれません。それはともかく、最も富裕なアフリカ系アメリカ人といわれるオプラ・ウィンフリー、出番がかなり多かったのですが、あるいは結構、出資したのかも(笑)。

また、詳細は割愛しますが、短い描写の中で7人の大統領の個性が示されているのも興味深いところでした。次の画像はJ.F.ケネディ夫妻がホワイトハウスの職員と会見する場面ですが、左の青い服のお嬢さんが長女のキャロラインちゃん。そう!…このお嬢さんが、現在、駐日米国大使のキャロライン・B・ケネディさんという訳ですね。
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*画像は(C)2013,ButlerFilms,LLC.AllRightsReserved.

この映画には、大統領役がロビン・ウィリアムズ、ジョン・キューザック、アラン・リックマン等、錚々たる顔ぶれなのですが、その他、セシルの母親役にマライア・キャリーが、綿花農家の主人の奥様役でヴァネッサ・レッドグレイブが、そしてレーガン大統領夫人役でジェーン・フォンダが登場します。行者橋、ジェーン・フォンダの大ファンですので、嬉しかった!…です。この2人といえば『ジュリア』を思い出します(笑)。お2人とも76歳・77歳というお歳ですが元気です!

この『大統領の執事の涙』の原題は元々、『The Butler』だったそうですが、ワーナー・ブラザーズが権利を持っている同名の古い短編映画があるとのことで、タイトルを『Lee Daniels' The Butler』という形で監督名を加えたとのこと。その短編映画は既にフィルムが失われているそうなのですが、いかにもアメリカ的な話だなぁと感じました。

昨年秋、『42~世界を変えた男~』という“黒人初の大リーガー”・ジャッキー・ロビンソンを描いた映画が公開されました。娯楽作品としても良くできた面白い映画で、アフリカ系アメリカ人がいかにして人種差別を克服していったかが良く理解できる優れた作品でした。
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*画像は(C) 2013 LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS LLC.

行者橋としては、もっとヒットして欲しかったなぁと思う感じで終わったのが残念ですが、この『大統領の執事の涙』の公開も含め、バラク・オバマ大統領の登場と無関係ではないと感じます。なお、リー・ダニエルズ監督もアフリカ系アメリカ人の方です。

◆『大統領の執事の涙』(2013年・アメリカ映画・132分・監督:リー・ダニエルズ・配給: アスミックエース ・2014.02.15公開)
◆『42~世界を変えた男~』(2013年・アメリカ映画・128分・監督:ブライアン・ヘルゲランド・配給: ワーナー・ブラザーズ・2013.11.01公開済)
〔最近観た映画から-№33〕

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この記事へのコメント

まさどやま
2014年02月11日 21:15
毎度のお邪魔失礼いたします。
「大統領の執事の涙」是非是非check it out!!!!ですね。執事といえば、まさどは「日のなごり」を思い出すのですが(ボケ防止に英語習ってた英国人教師のジョンさん、一押しの映画。また、このひとが、「it is the Friday the 13th today,but today is 大安so,it's OK!」なんて言う日本人より日本人的なおじさんだったのですが)まあ、それは置いといて。この主人公、アイゼンハワ-からレーガン迄って、計何年?ほぼ生涯をホワイトハウスで。。特にまさどが気になるのはJFKです。勿論行者橋先生もご覧に成ったとお察ししますが、ケビンコスナーのJFKの最後に「真実の公開は2039年に明かされる」とテロップが出ましたよね?とても、その真実の公開を楽しみに、それ迄長生きしなくっちゃ!とおもっていたのですが、wikipediaでは「あまりの資料の紛失が激しく真実はやはり謎のままになりそうだ」だそうで、ガッカリです。長生きの張り合いが1つ減りました。まさどは米国本土に行った事が無いのですが、南北では今でも人種差別の温度差があるそうですね。。。。それから、まさど、実は「オバマ」ファン♡9年前にジョンさんが、(その頃は2ndブッシュ)「民主党で黒人の演説の上手いカリスマが居る。多分、クリントンより彼が有力」と言っていたので、ずっと興味がありました。あと、少しの任期ですが、手腕を発揮して欲しいなあ~♡と願っております。長文、失礼いたしました。  早速レディースdayで予定立てよ~っと^^(主人と2人だと安いですが、彼は「宇宙戦艦ヤマト」を一人で見に行くヤツなので。。多分、趣味が合わなそう)
行者橋 渡
2014年02月14日 09:45
まさどやま様、コメント有難うございます。映画をご覧になった感想等、是非。所で、13日の金曜日と大安だと、大安の方が歴史が新しいから、13日の金曜日のパワーに負けるかも(笑)。大安とか仏滅とかは六曜(ろくよう)といいますが、流行ったのは明治以降が中心で、むしろ戦後の方が全国的に広がったとも言われています。“ひのえうま”なんて言う迷信も昭和41年の時に最も大きな影響が出て、子供の数が激減したほどですから(笑)。
まさどやま
2014年02月19日 18:34
the butler 見ました!
これは、絶対、アカデミー賞作品賞受賞でしょう!
だって、「英国央のスピーチ」なんて、あんまり感動しなかったけど。。。。。。
まさど、ケネディー暗殺のあたりから、ハンカチ濡らしっぱなし、鼻水すすりまくりでした(笑&恥)
最初の場面からセシルの心情を思うと胸に迫るものがあったし、当時の差別の壮絶さも、リアルだったし、でも、セシルが幾人もの良心のある人に救われて行く様も「いいなあ」と思いました。
で、セシルがホワイトハウスの執事に成り、
アイゼンハワーから、ケネディーに変わるアタリで
まさどは「あ~、トイレ行きたい。。。」となってしまい、(朝、大きいマグにカフェオレ一杯飲むもので。。。)そこで、急いでトイレ行って、ケネディー家が執事達に挨拶する場面!見逃しました(涙)
まあ、それは良いとして、
セシル夫妻が息子の意志を尊重して、心配しつつも、南部の大学に送り出す心情や父親の影響をうけつつ、息子が自分の意志で差別と闘う意志を育んでゆく処。。。
二男が、無念にも戦死してしまうところ。。。(イラクwarだって、貧しい米国民をターゲットに兵士志願者を金でつったらしいじゃあないですか)
そして、遂には息子とセシルが和解し、息子が政治家になる、ラストシーン。。。。
フォレストウィティカーの味のある紳士な感じの演技が本当によかった。
行者橋先生の好き?なジェーンフォンダも「ナンシー」に良く似てましたね。
バラクオバマが現大統領だからこそ、制作&上映が容易だったのかな~~~?
と思いました。

まさどやま
2014年02月21日 07:27
本当に、素晴らしい映画のご紹介ありがとうございました。これからも、映画の事、京都の興味深いお話。本当に楽しみしている、まさどやまです。
そして、何時も思うのですが、自転車の事故と風邪には、おきをつけて^^
行者橋 渡
2014年02月23日 23:32
まさどやま様、コメント連続で有難うございます。ご指摘の通り、バラク・オバマ大統領の登場は映画界にも大きな影響を与えていると思いますね。これからも、時々、面白い映画をご紹介しますので。が、あまり大きな期待はしないで下さいね。趣味嗜好は人それぞれですので(笑)。